2012年10月14日

スミス都へ行く

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スミス都へ行く (Mr. Smith Goes to Washington)

監督 : フランク・キャプラ
出演 : ジェームス・スチュアート ジーン・アーサー クロード・レインズ エドワード・アーノルド トーマス・ミッチェル ハリー・ケリー

129分


Huluにて視聴。

サムネイルは販促用として着色されているが、もちろん作品はモノクロです。

大好きなジェームス・スチュアート主演。そして、なによりフランク・キャプラ作品です。1939年製作。


ある州(作中では特定されていない)で、上院議員が病死したため、州議会の裏側では候補探しに慌てる。というのも、州選出議員であるペインと、州を牛耳る資本家のテイラーは癒着しており、州におけるダム建設法案とその利権を守るため、子飼いにできる敵対しない候補が見当たらないためだ。そこでボーイスカウトの団長である青年、ジェフ・スミスを指名することになる。いきなり上院議員になってしまったジェフだが、さっそくワシントンへ登り、全国の少年たちのためのキャンプ場建設の法案づくりに燃える。しかしそのジェフの挙げる建設候補地が、テイラーたちの目論むダム建設予定地だったため、ジェフを毒にも薬にもならないと踏んでいたペインたちはまたも慌てることになる。
ペインとテイラーは、ジェフに汚職の容疑を着せ、総力を挙げて潰しにかかる。


オスカー11部門ノミネート。ジェームス・スチュアートはニューヨーク映画批評家協会賞にて男優賞受賞。

やべえ。すげえ面白かった。

ジェームス・スチュアートはやっぱりいいですね。惚れますね、まじで。
この、なんだろう、こういう俳優は他にいませんね。そういう意味では、ジェームス・スチュアート出演の作品はリメイク不可能ですね。

ジェフは意気揚々とワシントンへ出向くわけで、まさに「都へ行く」なのだが、いきなり都会のマスコミの手痛い洗礼を受ける。それに腹を立てたジェフは記者たちにつかみかかるが、もうこの時点で政治家としては失格路線へ傾いている。
ジェフは実直で正直者で愛国者で、超がつくほどのお人好しだ。愛すべき人物なのだが、そんな彼がなにか機転をきかせて困難を切り抜けるなどという期待はすべて裏切られる。政界に生きる人間ではないのだ。

そんなジェフをサポートする重要なキャラクターがいる。ジーン・アーサー演じる秘書のサンダースだ。
サンダースは、キレ者のキャリアウーマンで、なぜジェフが議員に指名されたのか、その大人の事情のからくりさえも悟っている。そして田舎者の、政治に疎いジェフの秘書にあてがわれたことを呪っている。
サンダースはジェフの子守役に抵抗を感じ、辞職するとまで言い出すのだが(そして、本当に一度辞職する)、いつしかジェフの熱意に引かれて、結局ジェフのためのリーサル・ウェポンへと変容する。


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実はこの作品、俳優のクレジットとしてはこのジーン・アーサーが先頭になっているくらいで、このサンダースというキャラクターが非常に面白い。
サンダースの辞職理由の本質は、単純にジェフやその子守に嫌気がさしたというのではなく、純粋なジェフが政治の世界で傷つく姿を見たくないというのがそれだ。
しかし、彼女は帰ってきて、ジェフに燃料投下をする。

巨悪に勝てるわけがないと消沈しているジェフに対するサンダースの印象的なセリフに、「そんなことより、信じるならもっと大きいもの信じなさい(you had faith in something bigger than that.)」というのがある。

なんだろう、こうしてレビューを書いていて、様々なシーンを思い返す度にちょっと目頭が熱くなってしまうのは。
とてもシンプルな作品で、単純なストーリーなのだが、やはり人が目的を持って必死に闘う姿や、何かを信じて行動する様の魅力というのは、理屈の世界ではないのだな。

この作品の戦いは、資本主義と民主主義の摩擦 という構図でもあり、大義が人間を(敵をも)を動かす、というアメリカらしい内容となっている。


フランク・キャプラといえば、「或る夜の出来事」「群衆」、そしてなにはなくとも「素晴らしき哉、人生!」だろう。
のちの「素晴らしき哉、人生!」で活躍する俳優が何人か、この作品に顔を出している。

アメリカ映画協会の「感動の映画ベスト100」の1位に君臨する作品だが、5位にこの「スミス都へ行く」が入っている。
フランク・キャプラ作品がアメリカ人に支持されるのは、やはり実に「アメリカ臭い」からだろう。

だけど、「素晴らしき哉、人生!」は、普遍的な、人類の根源的なテーマを扱ってる。「タイタニック」のテーマをとっくの昔にやっちゃってる。それだけに、パブリックドメインということもあって、これはもうアメリカ人だけの財産ではないと言いたいw
僕にとっても10本指に入る作品だ。

「素晴らしき哉、人生!」は、フランク・キャプラが自身の集大成を賭けた作品だった。
そして「スミス都へ行く」は、その遺伝子形成を垣間見せてくれる。

もし両方とも未見の方がいましたら、ぜひ死ぬ前に押さえておくべきですよ。






posted by ORICHALCON at 15:28| Comment(0) | TrackBack(0) | Cinema
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