2012年10月11日

ミッドナイト・ミート・トレイン

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ミッドナイト・ミート・トレイン

監督 : 北村龍平
出演 : ブラッドリー・クーパー  レスリー・ビブ  ヴィニー・ジョーンズ  トニー・カラン  ロジャー・バート  ブルック・シールズ

103分

Huluにて視聴。

直訳しちゃうと「真夜中の肉列車」。そして、内容も直訳通りなんです。

タイトルからしてとてもチープ感が受け取られたので、何も考えずに喜んで再生したんです。
「あはは」とか、笑いながら見れるのかなと思いまして。

そう、なんの前情報もなしに観てしまったのですが、さっき調べてみたら、北村龍平監督のハリウッドデビュー作だったんですね!!(汗)
北村龍平監督は内外でも賛否別れますが、評価されるだけに才能があるのは間違いないんです。間違いないんですが、なんだろうな、残念ながらファンにはなれない。

日本人でハリウッド進出という偉業ですから、日本の映画ファンとして応援したいのですけども、なぜか愛着が持てないんですね。これはなんでだろう。

原作が「ヘルレイザー」のクライヴ・バーカーだというのもびっくりでした。

日本公開はされているのでしょうか?


NYの街を撮り続けるフリーカメラマン、レオン。ある夜、地下鉄の駅で不良にからまれる日本人女性を助けるが、翌日の新聞で彼女が行方不明ということを知る。別れ際に撮った、地下鉄に飛び乗る彼女の写真には、不審な男の手が映っていた。その手には印象的な指輪。そしてその指輪の男を街で見つけるレオン。追跡すると、男は食肉解体工場で働いていた・・・


鑑賞はちょっと覚悟がいります。当たり前の話ですが、R18+なので明らかに一般の人向けではありません。

まあまあよく出来ています。というか、「まあまあよく出来てるね」という程度の評価になっちゃう。

北村龍平監督にどうして愛着が持てないのか、ちょっとわかった気がします。

たとえば、「あずみ」でも感じたことなのだけど、アクションシーンに発生するこれでもかというカメラワークがあります。グルグル回っちゃったりとか、ものすごい動きとかするんですが、シラケちゃうんです。なんでかというと、こっちが「カメラ」に気づいてしまう。我に返ってしまうんです。
カメラ、と言っても、だいぶデジタル処理でやっているみたいですが、「デジタルでやってるね」とか、そういうことを考えちゃう。

これは殺戮シーンでもそうなんだけど、「ああ、CGだね」ってなっちゃう。
血しぶきとか、飛び出る目ん玉とか、かなりCGが使われているのだけど、これらもあまり上手い部類ではなく、「ああ、CGだ」とぼんやり眺める感じに収まってしまっている。
基本的に、誤魔化したりせずに「はっきり見せちゃう」路線でして、そのためにCGが大活躍となってしまっています。

映画というよりも、テクニックを見せられていると気づいてしまう瞬間が多いんですね。これだなあ。


まあそれはいいとして、問題は脚本であり、特に主人公のレオン。

観ている観客は、「よっぽど自分の方が、主人公より頭がいいだろうな」と思っちゃうんですね。
そう、主人公のレオンがまったくダメなんです(これは主人公に限ったことではないんですが)。「普通、こうするだろ」ってことが出来ない。出来ない上で窮地に立たされたりしてるから、「んもう…」となる。

これは、「そっちに行っちゃだめだ…!」とか「志村うしろ〜」的な、ホラー特有のハラハラ・ドキドキな観客の心の叫びの類ではありません。
「いや、それは普通、見つかるだろう」とか、「そんな調子じゃ気づかれるだろ!」とか、「そんなとこ逃げこむか普通!」とか、どっちかというとツッコミや疑問に近い。

上手いホラーというのは、登場する人間の心理や行動と、観客のそれとを上手くすれすれに合致させながらすすめる。それがあるからこそ、その合致がずれた時にショックが起きる。

ところが、「なんでそうなる??」という心理や行動の連続で、かえってそれらがこの作品をウソっぽくしてしまっている。ヴィニー・ジョーンズ演じる殺人鬼にも、なにひとつ「ホントらしさ」がない。
ホラーなんて、もともと「ウソっぽい」わけですが、だからこそ、観客が一瞬でも信じられる要素をちりばめて釣り上げていく必要がある。

失敗している映画というのは、多くが「観客がどう捉えるのか」を見誤っているということで、ひどいのになるとまったく意に介してないというのもある。
最高の監督というのは、実は「誰よりも最高の観客」であり、だからこそ、その観客を操ることができる、と僕は考えている。

それは脚本にも言えることで、この作品は「自分だったらもっと上手く解決できる」と冷静に観客が思ってしまうようなエアポケットがいっぱいあるわけです。
つまり、主人公を追い詰めてるのはご都合的な脚本であって、シチュエーションでも殺人鬼でもないということ。ホラーはこうなったらオシマイです。

だからちっとも恐ろしくないのです。

単に、エグい、グロい、見てて痛々しい、の連続なんですが、「スプラッターなんだからこれでいい」とも思わせてくれない。

とても消化不良な気分だったので、やはりHuluで、同じような都会の地下鉄を舞台としたホラー、「0:34 レイジ34フン」を観てみたら、よくできていた。

ということで、この「0:34 レイジ34フン」のレビューへさっさと移ろうと思います。






posted by ORICHALCON at 05:48| Comment(0) | TrackBack(0) | Cinema
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