2012年07月23日
その男ヴァン・ダム
その男ヴァン・ダム
監督 脚本 : マブルク・エル・メクリ
出演 : ジャン=クロード・ヴァン・ダム
明け方に目が覚めてしまって、寝つけなかったので観てみました。で、こんな時間に。
原題は「JCVD」。まさに「ジャン=クロード・ヴァン・ダム」。
俳優、ジャン=クロード・ヴァン・ダムがそのまま本人を演じています。
実際のジャン=クロード・ヴァン・ダムは、ベルギー出身のハリウッド・アクションスターです。若き日は空手ボーイでしたが、映画俳優を志して22歳の時に単身アメリカに渡ります。結果的に成功するのですが、それまでは、セレブのパーティーに忍び込んでは停めてある高級車のワイパーに自分の名刺を挟んで回るなど、それはそれはいろいろ大変だったようです。
「ブルージーン・コップ」(懐かしいw)あたりで弾みがついて、「ユニバーサル・ソルジャー」で確立、「ダブルチーム」あたりまでが最盛期だったんじゃないかなと思います。
なにげにどれも劇場で観てたりするんですが、実は個人的にはそんなに想い入れのある俳優ではありませんでした。
しかし、この今回の作品を観てちょっと見る目が変わりました。いい俳優になりましたねえ・・・・・
さすがに50歳近くにもなると人間もこなれてきますから、俳優であればそれ相応のものをみせるようになる・・・・とも言えますが、必ずしもそうであるとは言い切れません。
アクション俳優として似たような位置にスティーヴン・セガールとかいますが、実はHuluで「イン・トゥ・ザ・サン」観ちゃったんですね(日本が舞台になってるというので興味本位でw)。作品もひどいのですが、セガール自身があの年になっても全然進歩しているように見えなくて、むしろ後退してるんじゃないかというくらい辛いものがりました。まあ俳優として、ですけどね。
さて今回の作品。実はアメリカ映画ではないのです。始まってすぐ、フランスの超老舗映画会社、ゴーモンのタイトルが出て、まず「あ、そっち??」とびっくりします。
また、このゴーモン社のタイトルバックがなかなかいいブラックさを醸し出しています・・・・この映画専用なのかな?
どうやら、フランスとベルギーの合作のようです。劇中もほとんど、公用語のフランス語です。
プロットは、落ち目となってしまったアクションスター、ジャン=クロード・ヴァン・ダムのそのままのお話なんですが、ストーリーは完全にフィクションです。
今や低予算の作品の話しか来ないヴァン・ダム。その上、かつての妻と娘の親権争いで裁判の日々。そんな中、彼は故郷であるベルギーのブリュッセルへ帰郷し、郵便局強盗をするはめに・・・・?
冒頭からいきなり、3分越えの長回し(カメラを切らず、ワンカットで撮ること)のアクションシーンから始まるのですが、よくこれ撮ったなとw これ絶対に撮影終了後、スタッフたちは歓声をあげたでしょうな!w これギネスもんじゃねえの?w
またすぐ、ブリュッセルに場面が移ってから、ジャン=クロードが郵便局に入るまでとんでもない長回しがあって、「ああ、こういう監督なんだ」と思ったのですが、それ以降はそういう手法は使われません。
長回しというと、相米慎二監督(「セーラー服と機関銃」など)とか思い出しちゃうんですが、相米監督の場合は「これでもか」と言わんばかりの長回しで、観てる方が疲れちゃうこともしばしばでして・・・・でもこの作品の監督はとても上手いなあ。長回しを意識させません。それでいて、長回しの利点を生かし切ってます。こりゃあ勉強になりました。
作品の雰囲気はやっぱりヨーロッパらしく、「普通にはやらない」感じなんですが、気持ちいいモンタージュです。まあ、こういうのは好みもあると思うんですが、この監督はとても才能あるなあと思いました。
とはいえ、とりたてて挙げるべき点は特にない映画で、まずジャン=クロード・ヴァン・ダムを見守る映画です。演出もなにもかもそういう手法になってますし、そういう意味では前に紹介した「レスラー」も彷彿させます。(おなじ2008年公開なんですね・・・)
とにかく、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが良いです。
彼の、最後の最後のカット、あの彼を見るだけでも価値があります。
肉体派アクションスターというのは、やはり賞味期限が限られてしまうものです。ブルース・リーなど、あの絶頂期に迎えた死。(「燃えよドラゴン」が日本に上陸した時点ですでに亡くなってたりするわけで)あれがなかったとしたら、その後のブルース・リーはどうやってスターとして生き残ったんでしょうかね。
チャック・ノリス、シルベスター・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガーなどなど・・・いろいろなアクションスターが活躍したのですが、チャック・ノリスはやはりパイオニア的存在で、アメリカンドリームの一例として伝説化した感があります。今やどんなに商業価値がなくても、彼を悪く言うアメリカ人はあまりいません。
シルベスター・スタローンは、この人は映画への愛がかろうじて救ってる感じですね。脚本や製作、監督もできますから。
しかし、もっとも「落ち目」らしいものを経験せずに成功を保ち続けたのはシュワルツェネッガーでしょう。この人はアクションスターの賞味期限をわかっていたので、うまく生き残りました。落ち目になっていたら、知事にもなれなかったでしょうね。
肉体派アクションスターがもし落ち目になりたくなかったら、早めに別の領域を獲得することです。肉体派アクションスターのファンというのは、やはりコアですから、そこからどうやって「一般大衆」に認知させるかということになります。
そのために、シュワルツェネッガーは肉体派アクションスターの中でも早期に「コメディ」に進出しました。それが「ツインズ」であり、そしてそれで、そこそこ大衆を説得することに成功しました。
この「コメディで成功して枠を広げることを成し遂げた」というのは、この手の俳優ではシュワルツェネッガーが唯一です。
スタローンの「刑事ジョーママにお手上げ」は、逆に惨めになってしまいました。
この「ツインズ」、シュワルツェネッガーのキャリアとしては実に巧妙な戦略でした。これはたぶん、相当頭のいいエージェントと契約していたのではと思います。
この「ツインズ」の上手いところは、シュワルツェネッガーを主役にしなかったという点です。いやまあ、主役は主役なんですが、ピンにしなかった。そう、双子の片割れに、国民的大スター、ダニー・デビートを持ってきたことが妙手なんです。
ダニー・デビートはコメディの王様ですから、すべりようがないのです。で、互いが引き立て合うかたちであれば、どっちもお得。
もし映画がコケても、シュワルツェネッガーの責任になりにくい点も大きい。キャリアに傷がつきにくいわけです。
実はこのスタイルのもっとも成功している例は、トム・クルーズです。
トム・クルーズは「トップガン」で一躍スターになりますが、そうなると次も主役でってなるもんなんです。しかしその後は「カクテル」など以外は、極力ピンによる主役をわざとやらなくなります。実際、そういうオファーは蹴っています。
スターというのは、その主演作品が一度でもコケると、すぐ危機的状況になります。コケなければ、ギャラはうなぎのぼりです。
「ハスラー2」(ポール・ニューマン)、「レインマン」(ダスティ・ホフマン)と、必ず大スターが看板になる映画をチョイスしています。
これならコケてもトム・クルーズに責任の目が向きません。
「トップガン」移行、トム・クルーズが「いかにも主役」という「ミッション・インポッシブル」に至るまで、主役らしいことをやっている映画は「カクテル」「7月4日に生まれて」「デイズ・オブ・サンダー」「遙かなる大地へ」だけです。
もっともナイスガイな印象を持たれていた80〜90年代は実はそんな感じで、「もろ主役」をたてつづけにやりはじめたのは2000年に入ってから、なんですね。つまり、スターとしてのキャリアを堅実にしてから、ということです。
しかし、肉体派アクションスターというのは、いきなり主役デビューし、その後も主役しかやりようがありません。いやでも作品の顔です。ショービジネスにおいて、こんなにリスクの高い状況というのはないわけで、大ゴケするか、マンネリで飽きられるかで、いつかは右肩下がりになってしまいます。
シュワルツェネッガーは早くからそういうところをうまくやって、大衆にもっと親近感を持ってもらうことに成功しました。日本のカップヌードルのCM(ヤカンを持って出てくるやつ)なども、当時は衝撃的で、なぜならハリウッドスターが他国のCMに、ましてやあのような扱いで出るというのはまだ前代未聞だったからです。シュワルツェネッガーは、ハリウッド映画の海外における最大の顧客は日本だということも知っていました。
「シュワちゃん」などと海外で呼ばれるまでになった肉体派アクションスターはいないでしょう。
「コメディ」というのは、人間をさらけだしていくものですから、観ている観客は俳優に親近感をおぼえます。むっつりと機関銃を放つヒーローに興奮はしても、親近感をおぼえる人は少ないでしょう。
同じような肉体派アクションスターでも、ジャッキー・チェンの人気が衰えなかったのは、彼そのものが「コメディ」路線だったのも大きいわけです。
さて、ジャン=クロード・ヴァン・ダムはどうだったかというと、キャリアに「コメディ作品」は皆無といっていい状態です。
まあ、「コメディなんてやらないからこそ魅力的」というファンもいるかも知れませんが、そのファンが飯を食わせてくれるわけでもありません。あのハンフリー・ボガートですら、「アフリカの女王」「麗しのサブリナ」「俺たちは天使じゃない」などやってんですからね。
「コメディやれ」と言いたいわけではありません。でもどこかで、「人間味」を見せるべきだったでしょう。それもできるだけ早く。そういう意味では、この「その男ヴァン・ダム」は、遅すぎたのかも知れませんね。
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Posted by スーパーコピー at 2014年05月09日 12:58
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