
スターシップ・トゥルーパーズ
監督 : ポール・バーホーベン
出演 : キャスパー・ヴァン・ディーン マイケル・アイアンサイド デニス・リチャーズ
はい、今さら出ましたごめんなさい。
でも観ちゃったのだからしょうがない。
実はこの作品、公開時にちゃんと劇場で観ています。
で、なんで今さらまた観たかと言うと、これはなんか麻薬に似たような危険な誘惑があるのです。
でもまず言っておかなければなりません。
この映画は、ある意味、最低です。
ひどすぎます。はっきり言ってダウトです。
当時一緒に見に行った人間はあまりのひどさに怒り心頭、「いかにひどいか」を延々と僕に語りました。もちろん全面同意しました。
監督はポール・バーホーベン。「ロボコップ」でいきなり認められた彼は、「トータル・リコール」「氷の微笑」とたてつづけにヒットを飛ばした後、「ショーガール」という地雷を踏んでしまいラジー賞(アメリカの最低映画を賞する式典)の多部門を総なめにします。
この賞、さすがに受賞してもトロフィーを受け取りに行く人は皆無だったのですが、彼は授賞式に出席するという快挙に出て伝説となります。
そのあとに撮ったのがこの「スターシップ・トゥルーパーズ」。
ラジー賞を取って開き直りが出たのか、爽快なほどくだらない映画です。
ただし、興行的にはヒットし、成功した映画です。そこは間違えないで下さい。
これは原作があり、あまりにも有名なSF小説、ロバート・A・ハインラインの「宇宙の戦士(Starship Troopers)」です。
そしてこの小説は、あの機動戦士ガンダムのモチーフになっていることは、一般の人はあまり知らないでしょう。若い青年が戦場へ赴き、成長するというストーリーは、この小説からインスパイアされています。また、この作品にはパワード・スーツという着脱式の戦闘スーツで身を固めた機動歩兵というのが出てきますが、これがモビル・スーツのヒントになっています。ただ、玩具販売を狙うスポンサーの意向で、結局は大型ロボットになってしまい、「モビル・スーツ」という言葉だけが残った感じです。
まじめにストーリーを紹介する気が起こらないのですが、簡単に説明しますと・・・・
連邦制となった未来の地球。宇宙への植民進出が進むが、昆虫型宇宙生命体と衝突し、戦争状態になってしまう。
主人公のジョニーは自ら志願して軍に入隊。厳しい訓練を乗り越えて宇宙生物と戦うため戦場へと向かう。
この作品は、僕の中では「コメディ」に分類されている。たぶんそれは間違っているとは薄々気づいているのだけど、僕は劇場で一人、始終腹を抱えて笑ってしまっていたのであります。
まず、この作品は「戦争版 ビバリーヒルズ高校白書」みたいなノリがあることを知っておいてください。
ジョニーが高校を卒業し、軍に入って訓練するところから始まるのですが、この訓練からもうおかしくてしょうがありません。
我々現代人から見て、そうとう先の未来のはずなんですが、やってることがベトナム戦争時代とあまり変わらんのです。いや、逆に後退してるかも知れません。
実弾を使用した突撃訓練で、ジョニーが指揮するチームの一人がつまずいて転んだはずみに引き金を引いてしまい、仲間の頭をふっ飛ばしてしまいます。この救いようのない展開に思わず「うははw」なんですが、あわてて主人公が「衛生兵!」と叫ぶところでまた笑ってしまいます。だって頭半分なくなってるんですよ? いくら未来でも無理でしょうこれは。
で、ジョニーはそのチームの長として罰を受けるのですが、なんと上半身ハダカにされて、両腕をバンザイ状態に縛られます。なにかっていうと、ムチ打ちなんです。まるでローマ帝国のコロシアムみたいな絵になります。
で、ムチを打つ教官が、そっとジョニーに近寄って、「俺も経験がある。これを咥えるといい」と歯を食いしばるための噛ませ木を差し出すところでまた爆笑。
「辛かったら声を上げてもいい」とか、いちいちセリフがツボにはいりまくりで「もうやめてwww」と身をよじる僕。
で、パシーン。パシーン。主人公、耐えられなくなって悲鳴を上げる。また笑ってしまう僕。
で、いよいよ宇宙に出て戦場へ、ということになるんですが、コンテストエリアである最前線は荒地の広がる惑星で、そこへジョニーたちは向かいます。
ここからすでに間抜けな展開になってしまうんですが、バグズの待ち受ける惑星へ近づくのに、バグズ側が吐き出すプラズマ弾の応酬を喰らいます。地球連邦側の宇宙戦艦や歩兵シャトルを近づけまいとしてるんですが、これは青い火の玉で、それもゆっくりと飛翔してくるために避けようと思えばいくらでも可能なシロモノ。しかし、軍部の最新情報では「これはまったく無害」ということになっているため、人類側は「虫どもが役立たずを放ってやがる」とばかりに惑星へ向かいます。
ところがその情報は大間違い。間違いどころかすごい破壊力。巨大戦艦が次々と撃沈され、いきなり連邦軍はパニックになります。
ここでまたいくらか爆笑。
そんな中、なんとか歩兵を投下。ジョニーたちは「海兵隊」みたいなものであり、いち早く前線に送り込まれて制圧展開、後続のための基盤を確保するというやはり海兵特有の任務なんですが、原作にあるようなモビル・スーツは着用していません。
装備は現代の兵士とほとんど変わらず、下手すると現代の最新装備よりも劣っているかも知れません。70〜80年代ごろの米軍の装備で、デザインを未来っぽく変更しているような感じ。
宇宙生物、アレクニド・バグズは、巨大な昆虫型猛獣で、クモのような兵隊アリ級のバグズでも全長5〜6mくらいはあります。
これがまたとても獰猛、俊敏ときてまして、それが時には地面を覆い尽くす津波のような数で襲ってきます。
バグズの足はアイスピックのように鋭く、さらにカマのように切り裂く機能を持っています。これがまた嘘のようによく斬れる。胴体部には巨大なアゴがあり、これで人間を噛み砕きます。
対するジョニーたちは軽装のボディーアーマーとヘルメット、武器はポンプ式ショットガンを備えたブルパップ式アサルトライフル。
で、ジョニーたちは「おら〜!!!」と闘魂むきだしで突撃をかけるのですが、どうなるのかなと思ったら、一瞬で「大惨敗」。(突撃開始から3分もせずに「退却!」という声が聞かれます)
バグズは野菜サラダでもつくるかのように兵隊たちを切り刻み、スクリーンに兵士の首や手足が宙に舞います。これがまたツボにはいっちゃって、こっちは笑いをこらえるのに必死です。
うん、バーホーベンはこれがやりたくてわざわざ「モビル・スーツ」の設定をはずしたんだなとわかります。
そもそもバーホーベンは巨大昆虫と戦う映画を作りたくて「宇宙の戦士」の企画をたてましたが、当時はまだCG技術が未熟で、実用レベルと認知されるには「ジュラシック・パーク」まで待たなければなりませんでした。
バーホーベンは、巨大昆虫の撮影はフィル・ティペットのストップ・アニメーションでやるつもりでしたが、予算が見合わないために企画は中止。それでもフィル・ティペットと組んでなにかできないかというところに「ロボコップ」の話が舞い込んで、バーホーベンは監督をすることになります。
向上したCG技術のおかげで、やっとバーホーベンは念願の「巨大昆虫が面白いように人間たちを切り刻む」というシーンを作ることが叶いました。もう、バーホーベンが楽しくて楽しくて仕方がないとばかり作ってるのが、画面からにじみ出ています。
バーホーベンの中にあるバイオレンス表現というものが、相当過激であるというのはすでに「ロボコップ」でも一目瞭然です。過剰なほどの肉体破壊に出血量。まさに「スターシップ・トゥルーパーズ」はそれの大感謝祭です。
バグズの外殻は意外にも硬く、急所に撃ち込まないかぎり死なないので、一匹あたりに数名の兵士が撃ちまくるんですが、それでもあっさりみんな殺されちゃう。
「ピンチ」とかではなく、抵抗の余裕なしに蹴散らされるその様は、「戦場」というよりも「一方的な殺戮現場」です。
ジョニーも瀕死の重傷を負い、人類は撤退するんですが、その後に地球側で発表される戦果報告で「100,000 DEAD IN ONE HOUR(1時間に10万人が戦死)」と大写しになるところで笑いは最高潮を迎えます。
もちろん、コメディではないので、笑いは制作側の意図するところではないんですが、僕はツボに一旦はいっちゃって、すべてがギャグにしか見えませんw
いや、僕は間違っていない。連邦軍がいちいち流すCMが出てくるんですが、これがなによりの証拠です。
そう、この映画は大いなる「ベトナム戦争」のパロディなのでございます。
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ええ、勿論コメディとして…(笑)。
なかなか人に「好き」って言えない映画だけど…。
誰かが「勢いよくゲ○を吐くシーンが出てくる映画に外れなし」って言ってて、私はこの映画も当てはまるな、って思った…(笑)
「勢い良くゲ◯の吐くシーンのある映画にハズレなし」だと????
えっと・・・・パッと思いつくのは・・・
「スタンド・バイ・ミー」
なるほど。
「おとなのけんか」
「僕らのミライへ逆回転」
「プライズメイド」
「ショーシャンクの空に」…
中でもやっぱり、スタンド・バイ・ミーは別格だよね…。
あのシーンのは殺意すら覚えたわ…(笑)
しかし・・・「バスレなし」かどうかはさすがに僕にはわからん・・・・w