2012年07月12日

ヤギと男と男と壁と

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ヤギと男と男と壁と

監督 : グラント・ヘスロブ
出演 : ジョージ・クルーニー  ユアン・マクレガー  ジェフ・ブリッジス  ケヴィン・スペイシー


これは「ゾンビランド」を観に行ったときに、予告編がやっていて印象に残っていた。
というのも、このふざけた感じのタイトルは千原ジュニアさんがつけた邦題であり、予告編でも千原さんが出てきてアピールしていたんですな。ちなみに原題は「The Men Who Stare at Goats」。直訳すると"ヤギを見つめる男"、って感じかな?

スターが4人も出てるという贅沢なシュール・コメディです。
このストーリーは予告編でも"実話"として宣伝されていたが、原作は公式サイトによると「実録・アメリカ超能力部隊」というノン・フィクション作品。
この原作がどういったもので、またこれをどのように料理しているかはわからない。そもそも内容も「マジかよ」言いたくなるような物語だ。

ユアン・マクレガー演じる記者のボブは、妻との結婚生活が破綻したのをきっかけに、半分ヤケ気味で勃発間もないイラク戦争の取材へ向かう。そこで知り合った元軍人のスキップ(ジョージ・クルーニー)が、米軍の超能力部隊「新地球軍」のエリートだったことを知り、彼を取材することになる。

この新地球軍とは、70年代に発足されたサイキック養成セクション。米軍がまじめに超能力兵士の開発をしていたというのだ。当時はユリ・ゲラーの登場などで超能力ブームでもあったし、冷戦時代ということもあり「ソ連が超能力開発をやっている」などという噂がのぼるだけでも、こういったプロジェクトに予算がおりたりする。

で、なにをしているかというと、この内容からしてもうコメディなのだが、たとえば「ヤギを見つめるだけで殺す(心臓を止める)」という訓練があって、兵士たちはヤギをひたすら凝視しつづけたりする。邦題、原題ともタイトルの由来はここから来ている。

ジョージ・クルーニーも一生懸命ヤギを見つめつづけるのだけど(そして彼はついに殺してみせる)、そこはかとない非科学的ムードが漂う理由は、その体質がニューエイジの流れを汲んでいるせいで、ジェフ・ブリッジス演じるベトナム帰りの教官、ジャンゴは長髪を垂らしたヒッピーである。教官というより教祖みたいな存在で、麻薬で兵士を覚醒させようとするなど、オ◯ムみたいなことをやっているw

ケヴィン・スペイシー演じるフーパーは当時、ジョージ・クルーニーのライバル的存在であり、着実に超能力を開花させていく(かのように見える)スキップに敵愾心を持ち始め、ついに部隊の解体とジャンゴの失脚を招き、スキップも陥れる。

そんな70年代を駆け抜けたスキップ、ジャンゴ、フーパーがイラクという戦場で再会するのだが、米軍において出世しているフーパーは、巧みに予算を引き出して新地球軍の再生をイラクで試みており、やっぱり大量のヤギを囲っていたりするwwww


ベトナム戦争、麻薬、ヒッピー、ニューエイジ、いかにも70年代なわけだが、この訓練をしていた時こそがスキップにとって一番幸せな頃であって、今になってもあの頃への郷愁や、教官のジャンゴへの敬愛にとらわれている。

幸せなころという意味では、それは米軍にとってもそうだったかも知れない。

やっとベトナム戦争が終わって、冷戦はあったとしても逆にそれが直接的戦争を抑止しており、中東にやたらと行かなければならない今と比べればはるかに平穏だったのかも知れない。実際、劇中の米軍、すくなくとも新地球軍ではヨガや瞑想やったり、音楽にあわせて手をとって踊ったりと呑気だ。スキップも結局は実戦らしい実戦を経験していない。スキップも70年代もある意味、ヤギだったのかも知れない。

70年代は、理想を追う、もしくは理想そのものを見つけようとあがいた時代とも言える。
そして結果的に、スキップたちはこの現代において、この時代の住人にはなれなかった。

記者のボブは最後、アメリカに戻ってこの取材内容の売り込みをするが、どこからも相手にされずに終わる。誰も70年代などお呼びじゃないのだ。それどころじゃないのだ。

別に「70年代は良かった」というような作品なわけでなく、逆に「ひどかった」と言っているともとれる。ただ、青春は誰にとっても一番辛くもあり良くもある時代ということ。この今、なんでもないように我々が過ごしている2010年代も、いつか多くの人にとって特別な時代となる時がくるだろう。

このブログでも紹介した、僕の好きなボストンのMore Than A Feelingが、スキップの思い入れのある曲として登場し、エンディングもこの曲で締めくくられる。この映画にとってとてもいい選曲だと思うし、いい使い方!


劇中の笑いのツボは、一旦はずしてしまった観客は最後までそのツボにはまれないような類のものなので、リラックスして観るのがいいと思う。


さて、邦題の「ヤギと男と男と壁と」だが、申し訳ないが今思うとイマイチだと思うです。(ただし、邦題ととしてだけ見れば、相当いい線はいってると思う)
コメディを意識しすぎちゃったんじゃないかなあ。コメディは不景気では意外と入らないんです。
キャストは豪華なので、普通に「面白そう」と思わせて、「意外にも笑えた」とさせた方が良かったんじゃないでしょうか。
というか、原題のThe Men Who Stare at Goatsもいろんな意味が含まれてるけど、すっきりしないというか、微妙なのかも知れませんね。

偉そうに言うが、じゃあ、お前ならどうするかって?

うーん。

「Goat Camp」(笑)。

posted by ORICHALCON at 17:32| Comment(1) | TrackBack(0) | Cinema
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