うん、でもたぶんあまり続かないと思う。

静かなる決闘
監督 : 黒澤明
出演 : 三船敏郎 三條美紀 志村喬 千石規子
ふたつ前の「13ウォーリアーズ」のエントリで、「七人の侍」の話題もあったので、なんか黒澤作品を観たいと思ったので....
現在で視聴可能な黒澤作品はすべて観ているので、今回は初物ではありませんが、もうかれこれ20年くらい前に観た作品ですから、結構新鮮に観られました。
とにかく千石規子さんが若い!!(あたりまえ)
テレビでもおなじみの千石さんですが、僕はむかーし火曜サスペンスで孫をやったことがあります。ちなみにお父さん役は山城新伍さん。その山城さんはすでに故人ですが、千石さんはご健在。90歳だって!!!
あの独特のしゃべりかたは、この頃からだったんだなと。
たぶん、よほどの映画好きでないと観てないかもと思うので、これから観ようと思った人のために簡単なあらすじを・・・
なにより古い作品なので、録音状態があまりよくない(画質もだが)。たまになに言ってるかわからないところもあると思うので。
第二次世界大戦時。主人公である藤崎恭二(三船敏郎)は、軍医として前線に赴いていたが、野戦病院での手術中、誤って患者から梅毒のスピロヘータに感染してしまう。復員して父(志村喬)の病院へ赴くが、6年間待たせていた婚約者の美佐緒(三条美紀)に事実を告げられず、婚約を破棄する。美佐緒を愛しつつも近づけないという苦悩の日々を過ごすことになる藤崎。
とまあ、こんな感じ。
パッケージの三船敏郎はなんだかハードボイルドですが、藤崎はとても実直な青年です。
久しぶりに観ましたが、面白い。脚本にも演出にも演技にも、無駄がありません。
なんか、たまにセリフの言い回しが芝居がかってて、とっつきにくい印象を持つ人もいるかもですが、当時の日本人の美と捉えましょう。
藤崎の苦悩を見ていると、「とにかく美佐緒には本当のことを言ってやれよ」と言いたくなりますが、なぜ事実を告げられないのかという理由も、藤崎らしい考えに彩られています。
ウジウジした、暗い作品とかではなく、意外にもドラマチックです。
もちろん、派手さはなく、地味な作品なんですが、こういう人間ドラマを丁寧に、素直にやる、というのが黒澤の本来の魅力ですね。
そこを出発点として豪快な娯楽作品も手掛けたりするわけだから、それらがつまらないわけがないよなあ。
さて、この作品はいわゆる性病を扱っているわけですが、ここ近年、日本は世界各国でもエイズの患者数が増えている国のトップだそうです。
しかし巷のエイズ撲滅運動のポスターなどよりも、この映画を観た方がよっぽど「性感染症をおろそかにしてはいけないな」と思い知らされるものがあります。
藤崎は性的接触での感染ではありませんが、「人にうつしてはならない」という葛藤と、それを放棄している人間との対比。
藤崎の中の静かなる決闘とはなんなのか。ぜひご覧になってみて下さい。おすすめですよ。
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