要はメディアプレイヤーであり、音楽ファイルブラウザなのだけど、これはレンダリングエンジンにGeckoが搭載されていて、いわばiTunesとFireFoxを合体させたような代物。
インターネットタブブラウザとして機能し、URLを入れれば普通にサイトをブラウズできる。
これはちょっと使ってると、たまに「アンケートにご協力ください!」というお願いが表示されることがあり、OKすると以下のように。

クロスプラットフォームで、PC、
フリーでオープンソースなので、今後の拡張性が期待されているんだけど、いわばFireFoxのアドオンのようにいろいろ便利な機能が追加・カスタムできるってわけ。

iTunesはAppleストアしかブラウズできない。その閉塞性に対するアンチテーゼ的なものも、この開発プロジェクトのモチベーションのひとつとなっているらしい。
今のiTunesには真似できない機能もいろいろある。




さて、このSongBird。
気分転換的に使うにはいいけど、iTunesをやめてSongBirdにするかっていうと、僕の場合はまだNOだ。
音楽ファイルのマネジメントやiPodとの同期とかなら、iTunesで事足りるし、それにiTunesはiLifeと連携しているので、iTunesでマネジメントしていた方がなにかと便利なのだ。
それにただプレイリストを再生しておくってだけなら、それこそなんでもいいわけで、iTunesである必要もない。だからiTunesがすでにバンドルされているのに今さらハードディスクに新しいアプリを書き込む必要もないと思っちゃう。
(ただし、iTunesよりSongBirdは容量が小さい)
僕の場合は作業中に垂れ流しにしとくタイプなので、できれば音楽再生にリソースは食われたくない。
ならもうiPodで聞けwwwって感じなんだろうけど、とにかくこのSongBirdはややメモリを食う。
環境や管理曲数などにもよるだろうけど、モニタしてみると、常にメモリ使用率の1〜2位を独占している。たまにSafariを追い抜く瞬間もあるからびっくりする。
CPU独占率も高い。
これはまあもう、ネットブラウザを一個起ち上げてしまってるようなものなので、当たり前といえば当たり前なんだけど、こいつを主のネットブラウザとして使用するってのもさすがにないわけで.....
まあ、今書いたのは僕の個人的なあれなんだけども、さらに個人的なことを言えば、たとえば僕は、iTunesをMacのメニューバーから管理している。
↓

こんな感じ。
これはYou Control: Tunesというアプリで、Macメニューバーに常駐する。

iTunesが起動してなくても、再生ボタンを押すと自動で起動してくれる。
いろいろ窓を起ち上げてる時に、再生をとめたりプレイリストをかえる時、いちいちiTunesの窓を呼び出す必要がないので助かるんだな〜。
とまあ、横道にそれたけど、こういったことがまだ(たぶん)SongBirdにはできないので、iTunesからさよならすることができない。
もっと個人的なことで気になったのは、このSongBird、ウィンドウのタイトル部分ダブリクリックで窓を格納することができないw
Macだと慣れてしまっているこの格納ができないのは、違和感を感じてしまった。
まあ、個人的な不満を書いてしまったけど、では広い視点で眺めて、このSongBirdがiTunesの対抗馬として、結果的に大きなシェアを獲得できるか? ということだが、僕はそんなにめざましい成果は得られないと思っている。
ユーザーの支持率として、将来的にiTunesを追い抜くことはできないだろう。
iTunesは完璧なアプリでもないし、僕もiTunes信者でもApple信者でもなんでもない。むしろ、不満もいっぱいある。
SongBird側は、iTunesをマイクロソフトのIEにたとえている。クローズドで、独占的だからだ。
でも残念ながら、それがiTunesの最大の武器でもあることに、気づかなければならない。
それはつまり、「わかりやすい」ということだ。
曲が買いたければ、Appleストアという窓口ひとつで充分だ。
Appleストアしか選択できない、というか、そこへ強制的に誘導されるということに反感を感じ、「独占的だと」安易にいう人は、Appleがこのシステムを構築するのにどれだけの努力を重ねてきたかを知らないから言えるのだと思う。
ネットで曲をダウンロード販売なんて、音楽業界はみな冷めた目で見ていた。「とんでもない」という風潮でさえあり、Appleの呼びかけに皆、懐疑と冷笑で答えるところばかりだったわけだ。
それでもAppleは走りまわって、なんとかシステム構築までこぎつけた。そして蓋を開けてみたら、iPodとの連携で大ヒット。今や音楽をネット販売したくないなんてレーベルやミュージック企業なんていない。
ともかく、人々はただ、音楽が聴けて、プレイリストをちょっとマネジメントできて、iPhoneやiPodとの同期・管理ができればいいのだ。
iTunesとSongBirdを比べると、iPodと、ソニーのWalkManに似ている。
iPodというのは、プレイヤーとしてはそんなに高機能ではない。MP3の再生レンダリング性能も、いいものではない。WalkManの方が若干、音はいいはずだ。
僕はiPodは容量の都合でClassicを愛用しているのだけど、これに比べればWalkManのほうが小さく軽く、高機能のモデルがある。
しかし、さっき書いたように、人はただ、音楽が聴ければいいのだ。
あれもこれもできます、こんな機能があります、といわれても、そんなのはコアなユーザーしか喜ばないだろう。
SongBirdはこれからさらに進化して、起ち上げたとたんにいくつものペインに分かれてたりすんのかもだけど、しかしそのペインのすべてを、すべてのユーザーが使い切るわけがない。
Appleが長けているのは、マーチャンダイジングのセンスだ。さらにデペロッパなわけだから、これはすごいことだ。むしろソニーはデペロッパ的にはすごいが、センスがまだ及ばない。
Appleは力の抜きどころを知っている。Appleのお得意は、追加よりも「排除」だ。(良くも悪くもw)
iPodシャッフルがいい例ですよね。誰がこんなものを作ろうと思い、売れるなどと思ったか。
Appleはシンプルさが武器で、しかもそのバランス感覚が素晴らしい。
SongBirdの多彩な機能のいくつかは、AppleがあえてiTunesに搭載するのを避けた機能もあるかも知れない。Appleはそういう会社だ。
iTunesが最近進化したともいえる、目新しい追加機能といったらあなた、アートワークのカバーフローぐらいですよ?w
こんなの、どう便利なのかw むしろ、SongBirdの「YouTubeで関連動画がペインできます」ってのが「便利そう」だ。
でもこのカバーフローは、結果的に「楽しく」してくれてしまった。ライトユーザーが音楽を楽しむ上で、どんなフィーリングを求めているかを、Appleはわかっている。
忘れてはいけないのは、音楽文化を大きく支えているのは、ライトユーザーだということだ。ライトユーザーが見向きしなくなったら、業界はアウトなのである。
いくら高機能で、たとえばプレーヤーでそのまま関連動画で楽しめますって言っても、そんなこと試してる暇なんかない人たち.......つまり、普段、通勤や通学でiPodを通して音楽を聴くぐらいが日常という人たちが最も重要な市場なんだな。そんな人たちだから、欲しいアルバムもHMVに足を運んで視聴、とかではなく、Appleストアで購入、というわけで。
ずいぶんSongBirdをこきおろしてしまったが、これはこれで、需要のあるユーザーは必ずいる。その人達には喜ばれるだろう。
特に、ネット上とローカル上のメディアをこれひとつでまとめてしまおうっていうのは非常に素敵だ。
スキンが簡単に変えられるのも重要だ。音楽を楽しむ雰囲気や、「見た目」はユーザーにとって意外にも大事だからだ。そういう意味では、iTunesのスキンはウンコだと思う。
まあ、これは好みの問題だろうけど....
さて、最後に、さっき書いた、音楽をパソコン上で聞くのに、リソースを食われたくないって話ですが。
フォトショとイラレと3Dソフト起ち上げて連携バリバリしてる時に、もうさすがにiTunesは困るわけで.....
そんな時はこれ。

PicoPlayというアプリで、iTunesライブラリのプレイリストのみを認識する。画面上に小さなコントロールバーだけが表示され、そこから再生・停止・スキップや、音量を数段階の調節、シャッフルON/OFFができる。
実に必要最低限の機能のみで、やばいくらい軽い。画像は、プルダウンでプレイリストを表示させたところ。ここからプレイリストを選択すると、勝手に再生する。
死ぬほど探したが、これに勝るものは見つけられなかったというくらい、ただただ、再生特化型アプリ。
おすすめですよ。