
【記事】米アップルvs.サムスン裁判はアップル大勝利、サムスンに826億円の賠償命令
826億ですって・・・
まあ、詳しくは上の記事を参照いただきたいのですが、とにかくアップルとサムスンはずいぶん裁判で争ってきました。
単純に言えば、「iPhoneパクってるでしょ」vs「パクってない」対決だったのですが、「パクった」という判決のようです。
特許侵害7件のうち、5件が「故意侵害」と認められるという、Appleにとって大勝利な結果と言えます。
いずれにせよ、裁判の判決がどうなろうと、普通に両製品を並べてみれば「パクってる」というのは明らかだったわけです。
サムスンはiPhoneの部品サプライでもあったため、その中身までもよくわかる。ということで、外見だけでなく中までパクってしまってたわけですが、それでもなぜ「こうもあからさまに外見を似せて」しまったのか?
アイコンのデザインなども「もっとひねれなかったのか?」と言いたくなるほどスライド式に模倣しています。
市場に出れば比較されてしまうのはわかっているはずなのに、なんのためらいもなく「似てる」ものを出してしまう。なぜか。
サムスンといえば韓国の一大企業なんだけど、ほぼ国営のような存在であり、日本で「電通マン」などという言葉があるように、向こうでは「サムスン・マン」と呼ばれる、まるで東大卒のようなステータスがあります。
これほどの企業がなんでパクっちゃうかというと、そもそもこの企業はパクることで大きくなってしまったという経緯があるんですね。ですから、それがもう体質になっちゃってるわけです。
Appleの件なんか、ほんとは氷山の一角で、それこそ30年も前からこういうことは脈々と行われてきたわけです。
その被害者はほぼ100%、日本の企業でした。
任天堂のファミコンを筆頭とするコンシューマゲーム機やそのソフト、オーディオ機器など、腐るほどあります。サムスンだけじゃありません。オートバイ、車、また最近知られるようになってきたお菓子や飲料など、様々なものが韓国企業によってコピーされてきました。
僕はバイカーでもあったんですが、韓国に行くとびっくりします。最新の韓国産バイクが、30年も前のスズキのホイールを履いてるんですよ。つまり、30年間、スズキのホイールの金型を使いまわしてるわけです。
しかもデザインはみんな日本産バイクのデザインそのまんま。笑えないくらいそのまんまなんです。笑えないのは、そのまんまのくせにかっこわるいんですよ。なぜなら、どこかバランスが悪い。
バランスが悪くなる理由は、エンジンやフレームの金型までもが古い日本製を両用しているためで、要は古いバイクに無理やり最新デザインの外装をくっつけてるからなんですね。その上、古い時代の細身のホイールですから、タイヤが自転車みたいなの・・・・
「これ、ちょっとやりすぎじゃないの。これ、日本車のコピーでしょう」と言うと、向こうの人は「日本が真似してるんだ」と言ってきかないのです。
ディスカウントショップなどに行くと、サムスン製のファミコン(デザインまったく一緒。色が違う)、PCエンジンやネオジオなどが積まれていたりします。しっかり臆面もなく「SAMSUNG」と入ってるのがすごいんですが。
これらに対して、なぜ日本企業が手を出せなかったかというと、それは韓国内での販売なために国に守られていたからなんですね。
まず起訴しても勝てないでしょう。
こんなのが何十年と続いてしまいましたから、iPhoneに対してGalaxyがああなってしまったのはもう、性なわけです。
だって、新しいデザインや設計などの開発部門なんてないんですから。いやまあ、さすがに現在において、ないというのは言い過ぎですが、少なくとも歴史があって発達していたのは「コピー部門」だったわけです。新しい日本車から設計図を起こすといった職人の方が育っていたわけなんですから。
なにをどうやろうと、韓国内での販売ですからこわいもんなしです。
しかし、Galaxyは韓国内だけの製品ではありませんでした。世界中で販売してしまったところに、こういう結果になった。
そもそも、サムスンには、「特許泥棒隊」みたいなのがいて、たとえば日本に社員派遣して、特許庁へ行かせるんですね。
で、韓国に登録されていない特許を調べさせて、それをまるまる韓国で申請登録するわけです。すごいでしょ。こんなのはその筋の人はみんな知ってる話です。
サムスンはその安く供給できるICチップなどの需要で大きくなった企業ですが、こんなのもそもそもは上の手法のような寄せ集めの技術で作られていたわけで、開発に金をかけているオリジナル企業たちは価格競争から見てもたまったもんじゃありません。
本来、コピー商品というのは、アングラな存在でした。偽ヴィトンのように、どこの誰が作ってんだかわからんような世界だったのですが、韓国の場合は模倣が長くから体質になってしまったために、世界的企業がつい普通にやってしまうとこまできてしまったわけです。
しかし、「模倣」というのはそもそも、日本人が得意としている分野です。上に似たようなこともいっぱいしてきました。
黒船が来航して10年もしないで蒸気船を作ってるんですが、これは実用レベルの竣工という意味で、模倣プロジェクト自体は翌年から始まってたりするわけです。
世界的に展開されている日本車だって模倣から始まってますし、ホンダのバイクだってそう、トランジスタをはじめとする電気機器だってそう。
だけど日本は明治という早くから西洋にかぶれちゃいましたので、特許という制度とかそういったものへも敏感だった。だからそのへんはなんとか律儀にやっていたわけです。そのおかげでまあ、日本製品が海外へ進出して裁判で叩かれて潰されるなんてこともなく、現在でも信頼されているブランドも多いでしょう。
模倣は得意だが、少なくとも他人のイノベーションを「自分たちのもの」とは言わないわけです。その法度は踏まなかった。
しかし、韓国は(中国もそうだったりするんですが)「自分たちのもの」と言っちゃう。それで今回のような裁判に発展してしまう。
もう10年以上も前ですが、ソウルへ言った時、「今、若者に人気の最新スイーツ」というのが露店で売られてるんですね。
まるでクレープ販売のようなおしゃれな露店で、その「スイーツ」もおしゃれなコーン型の紙パックに入ってる。
んで、なんだろうと覗くと、「大学イモ」。食べると、やはり大学イモ。ご丁寧に黒ゴマまでまぶされておる。
日本では「おばあちゃんの味」的お惣菜なんですが、これを「ヤングな(死語)スイーツ」にしちゃうとこがすごい。
で、その夜に韓国人の友人が「今、若者に一番人気の創作料理があるから是非」と連れて行ってもらうと、大皿に肉じゃがが出てくる。
食べるとやっぱり肉じゃがなんです。ただ、じゃがいもが丸のまま使われており、大皿に盛ってみんなでつつくというスタイル。そして唐辛子で風味付けしてあるのがオリジナル点。
友人が「おいしいでしょう」と嬉々としてすすめるので、さすがに「これ肉じゃが」とは言えなくて、「これは韓国の料理なの?」と聞くと、「最近開発されたものです」と言う。
向こうでは日本食を「日式」と言うんですが、「日式」とは書いてないわけで、どうりで店に入った時、店側が「面倒なのが来た」という顔をしたのが納得いきました。(韓国人は、なぜか見た目で一発で日本人を見破る)
とにかく、大皿いっぱいの肉じゃがだけを腹に詰め込むという夕食は初めてだったわけで。
だけどこれらのことは別段、騒ぐほどのことじゃありません。ただ気になったのは、どこか「うちが発明した」というような雰囲気が漂っていたことなんですね。
でもま、いいんじゃないの?w と特にどう思うでもなくいたのですが、ここ10年で大変なことになっているようです。こんなのは序章だったんですね。
日本の老舗の料理店やアパレルの店名、ロゴ、料理や商品がそのまま使われる、などといった事態になっているようです。
そういや、あからさまな「偽スターバックス」があちこちにあったんだよ。あそこで危機感持たないといけなかったんだなあ、うん。
で、アップルとサムスンなんですが、今回の判決について、サムスン側は「今回の評決はアップルの勝利ではなく、アメリカの消費者の敗北を意味する。これで選択肢は減り、イノベーションも減り、価格がつり上がる恐れもある」という声明を出しました。
対して、今回の判決に関して、アップルCEOのティム・クックが社内宛に出したメール。一部抜粋です。
「我々にとってこの訴訟は、特許やお金の事よりもずっと重要な意味がありました。それは本質的な『価値』です。私たちは独創性とイノベーションを重んじ、地球で最も優れている製品を創りだすために心血注いできました。そしてこれは競合にあからさまな模倣製品を作らせるためでは決してなく、顧客に喜んでもらうために行なってきたことです」(全文はこちら)
どちらも、「消費者(顧客)」というものを引き合いに出している。
アップルは「消費者のためにイノベーション提供する」というのに対し、サムスンは「この判決は消費者のためにならない」というかたち。
おもしろいですね。
アップルもサムスンも、ほんとに消費者のためのことを考えてるかは知らない。ただ言えるのは、両社とも「自分たちの企業の利益ため」のことを考えてるのは間違いないわけで、しかしそれによる行動が「イノベーション」か「模倣」かではるかに違ってくる。
さらにティム・クックはこんなことも言っています。
「裁判中に提示された証拠の数々は、サムスンの模倣は私たちが知っていたものよりずっと根が深いものでした」
そう、とても根が深いものです。昨日今日のものではなく、積み重ねられた歴史のようなものがあります。
ファミコンの時代からやっていたんですからね。
良くも悪くも、この判決で溜飲を下げている日本企業の人々も多いのではないでしょうかね。